「東日本大震災」。地震だけでなく、津波被害、さらに原子力発電所事故は、日本のこれからの社会のあり方を根本的に問い直す、大きな命題を私たちに投げかけました。映画を仕事としている私たちには、映画に何ができるのかと。実用品、必需品ではない。けれども、なくてはならないもの、心を豊かにしてくれる、潤いをもたらしてくれるものです。
これからの公開作品には、被災者への支援を映画を観ることで広げていこう、という作品もあります。中国の俳優、ジェット・リーが自閉症児を持つ父親役で主演する『海洋天堂』は、ペア前売券1組の売上げにつき100円が寄付されます。ジェット・リー自身が、04年、家族でバカンス中にスマトラ沖地震に遭遇し救助された体験から、誰でも参加できるチャリティ活動として、賛同者一人一人が毎月1ドルを献金する壱(ワン)基金を創立。その精神を今回の被災者支援の形に具体化したのが、この〝チャリティペアチケット〟です。映画のテーマに沿って、この寄付金は「日本発達障害ネットワーク」に贈られます。自閉症、アスペルガー症候群など、発達障害のある人やその家族のサポート、自立と社会参加の推進活動に取り組んでいる団体です。『海洋天堂』を観ることが、こうした支援活動につながるのです。
世界中の人たちが、日本の今後の復興への道筋を応援したい、と活動してくれています。映画もそうした広がりの中で、観客も参加して復興支援に取り組んでいく。直接活動できない人たちも含めて、いろいろな形で、さまざまな支援をしていく。多くの人が参加できる、長く続けていける、息の長い活動をと思います。
(京都シネマ代表)